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ある時代の最も洗練された審美眼によって美しいと考えられたものが美術館にはたくさんあるのだが、それは今の私たちには価値のないものに見えるのである。

ある時代(じだい)(もっと)洗練(せんれん)された審美(しんび)()によって(うつく)しいと(かんが)えられたものが美術館(びじゅつかん)にはたくさんあるのだが、それは(いま)(わたし)たちには価値(かち)のないものに()えるのである。
The museums are full of objects which the most cultivated taste of a period considered beautiful, but which seem to us now worthless.
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芸術作品とは人間の活動の最終的な生産物であり、人類のあらゆる精神的な苦痛と、果てしない苦労と、挫折した努力を最後に正当化してくれるものなのだと私は思っていた。

芸術(げいじゅつ)作品(さくひん)とは人間(にんげん)活動(かつどう)最終的(さいしゅうてき)生産物(せいさんぶつ)であり、人類(じんるい)のあらゆる精神的(せいしんてき)苦痛(くつう)と、()てしない苦労(くろう)と、挫折(ざせつ)した努力(どりょく)最後(さいご)正当化(せいとうか)してくれるものなのだと(わたし)(おも)っていた。
The work of art, I decided, was the final product of human activity, and the final justification for all the misery, the endless toil and the frustrated strivings of humanity.
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すべての芸術作品の中で最高の作品の中にはあらゆる事が実現されており、私は何も与える事ができず、私の落ちつかない心は、ただ受動的に見つめる事に飽きて仕舞うのだった。

すべての芸術(げいじゅつ)作品(さくひん)(なか)最高(さいこう)作品(さくひん)(なか)にはあらゆる(こと)実現(じつげん)されており、(わたし)(なに)(あた)える(こと)ができず、(わたし)()ちつかない(こころ)は、ただ受動的(じゅどうてき)()つめる(こと)()きて仕舞(しま)うのだった。
In the greatest of all works of art everything had been realized, I could give nothing, and my restless mind tired of passive contemplation.
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長年の間、私は美だけが人生に意義を与えてくれるものであり、このごみごみした地上で次々と引き継がれる世代に課せられる唯一の目的とは、時々芸術家を生み出すことだと思っていた。

長年(ながねん)()(わたし)()だけが人生(じんせい)意義(いぎ)(あた)えてくれるものであり、このごみごみした地上(ちじょう)次々(つぎつぎ)()()がれる世代(せだい)()せられる唯一(ゆいいつ)目的(もくてき)とは、時々(ときどき)芸術家(げいじゅつか)()()すことだと(おも)っていた。
For many years I thought that it was beauty alone that gave significance to life and that the only purpose that could be assigned to the generations that succeed one another on the face of this crowded earth was to produce an artist now and then.
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唯一、人生に意味を与えてくれるような芸術作品の中に美しい人生と言うものも含めて考える事によって、私は後にこの途方もない考えを修正したのだが、それでも私が尊重していたのはやはり美であった。

唯一(ゆいいつ)人生(じんせい)意味(いみ)(あた)えてくれるような芸術(げいじゅつ)作品(さくひん)(なか)(うつく)しい人生(じんせい)()うものも(ふく)めて(かんが)える(こと)によって、(わたし)()にこの途方(とほう)もない(かんが)えを修正(しゅうせい)したのだが、それでも(わたし)尊重(そんちょう)していたのはやはり()であった。
Although I modified this extravagance later by including the beautiful life among the works of art that alone gave a meaning to life, it was still beauty that I valued.
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常に取り壊される危険にさらされているのは、それほど重要かどうか決定しがたい場合である。つまり、実際、芸術的価値や歴史的価値はないかもしれないが、心情的に人々が愛着を持ち、愛するようになった堂々とした昔の建物の場合である。

(つね)()(こわ)される危険(きけん)にさらされているのは、それほど重要(じゅうよう)かどうか決定(けってい)しがたい場合(ばあい)である。つまり、実際(じっさい)芸術的(げいじゅつてき)価値(かち)歴史的(れきしてき)価値(かち)はないかもしれないが、心情的(しんじょうてき)人々(ひとびと)愛着(あいちゃく)()ち、(あい)するようになった堂々(どうどう)とした(むかし)建物(たてもの)場合(ばあい)である。
It is the border-line cases that are always in danger: the dignified buildings of the past which may possess no real artistic or historic value, but which people have become sentimentally attached to and have grown to love.